ドル/円相場は、79円台中盤から後半を中心に揉み合う展開になっている。全般的に特に決め手となるような材料は見当たらず、ポジション調整中心の小動きに終始している。欧州債務危機一服の流れを背景に、7月5日には一時80.10円までの円安・ドル高になった。ただ、80円台確立を試すような動きは見られず、その後は79円台中盤まで軟化している。
7月6日には、6月米雇用統計が発表された。非農業部門就業者数は前月比+8.0万人に留まり、市場予測+10.0万人を下回った。これで3ヶ月連続の+10.0万人割れであり、民間就業者の増加幅は10ヶ月ぶりの低水準に留まっている。5日にADPが発表していた民間雇用者数は前月比+17.6万人と急増していたが、雇用環境については依然として予断を許さない厳しい状況にあることが確認できる。6月はこうしたネガティブな雇用統計を手掛かりに量的緩和第3弾(QE3)を巡る議論が活発化したが、今月は特に米金融政策環境を巡る思惑を背景とした売買は膨らんでいない。いずれにしても、7月31~8月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、QE3が導入される可能性は低いとの見方が優勢になっている模様だ。ただ、米金利に対して低下圧力が強くなっていることは間違いなく、ドルの上値は圧迫されよう。ドルの戻り売り基調には、何ら変化が生じていないとみる。
7月11~12日には日銀金融政策決定会合が開催されるが、追加緩和策の導入が行われるのかは不透明感が強い。日本銀行が2日に発表した。6月短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が3期ぶりに好転しており、景気動向の面では米国やユーロなどのように直ちに政策対応が迫られる環境にはない。5日には白川総裁も、「景気は緩やかに持ち直しつつある」と楽観的な見方を示している。円サイドの動向は、余り重視する必要はないだろう。
今後1週間の予想レンジは、79.00~80.50円。